会員だより
掲載日:2021/08/09
【特別寄稿】淀川辺り散策の想い出 

石西 修作(4地区)

 私は四季を通じて、淀川周辺を歩くのがとても好きである。
 自身は漢詩づくりをライフワークにしており、その題材さがしも兼ねており、その感動を詩にした時の残像が今も鮮やかにあり、その想い出の一端を記す。
 春は、川辺りに続く樹林の小径を歩いて行くと、鴬の見事な鳴き声に思わず立ち止まり、その居場所を確かめるために、身を屈め、息を潜めて探して見るが、見当たらないのが常である。夕暮れは、堤防一面に咲く「菜の花」の香が匂い立ち、空には月が浮かんでいて、まさに「朧月夜」の歌の世界である。
 夏は、入道雲がもくもくと立ち上がり、悠然と流れ行く川をいつまでも飽きずに眺めている。日が暮れると、ため池に映る「しだれ柳」の葉に蛍が飛び交い明滅している。
 秋は、銀色の「すすき」や「コスモス」が、物思わし気に秋風に揺れている。
 冬は、冬枯れした葦の向こうに、一羽の「白鷺」(写真)が、川の中にじっと立ち尽くし、ひたすら寒風に耐えている。
これらの花鳥風月の味わいを、漢詩に表現することで心の栄養となり、自然の営みの美しさや、人生の在り方をも感じさせてくれるのである。

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