◇キーワードは、子育て支援の充実
出生率1.29。 どんどん加速する少子化現象。単に高学歴→晩婚→高齢出産→少子化という図式だけでは片付けられない、社会的背景が見え隠れします。そんなひとコマを。
ぐずる長男をさっと抱き上げて外へ連れ出してくださったお向かいのおばさん、「気を使わなくてもいいよ、順番だから」と。地域ぐるみの子育てがそこには有りました。わずか30数年前のはなしです。
核家族に加えて、引っ越して来たばかりで地域のつながりもなく、孤立した家庭の中で子育てをしているお母さんに、ほんの少し手をお貸しする機会がありました。
事情があって、遠方の保育園に通園する長男のために、そのお母さんは生後4ヶ月の乳児を抱いて送迎をしていました。 片道一時間かけて。雨降りの日は大変でした。
見かねた園長先生からSOSがあり時間の許す時だけ、送迎時に乳児を自宅で預かることになりました。
あれから半年、保育園児は無事小学校に入学。幼な子は1歳を過ぎて、かわいい盛りに。 大変な時期をやり過ごしたお母さんは、自信に満ちて、晴ばれと輝いていました。そこには、ふんわりと柔らかな顔が有りました。
「あ〜よかった。」
子育ての大変な時期はほんのいっ時のこと。子育てはしんどい事と思わないで、子育てを楽しんでほしい。楽しいものと感じてほしい。
若いママが勇気を出して周りにSOSを発信し、ベテランママさんがそれにこたえる。こんなキャッチボールの輪つなぎを広めることで「地域で子育て」も夢ではないと、おせっかいおばさんは思うのです。
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