
フンザの少女
2013年6月、北パキスタンの中国と国境を接する町フンザに旅し人生観が変わりました。
そこは1974年まで藩王国、またかってシルクロードの要衝で7000メートル級の山々に囲まれた自然豊かなところ。そこに住む人々は 決して豊かではないのですが、老人から子どもたちまですべて穏やかで優しくて、恐らく世界一美しい、まさに桃源郷。右はそこで出会った少女の絵です。
この子は小学校5、6年ですがこんなに透き通ったきれいな目をしています。この子だけではなくすべての子どもたちは日本人で言えば3歳児ぐらいまでの目と同じようにきれいな目をしていました。恐らく歴史や伝統、育ってきた環境、親の育て方がそうさせるのでしょう。
TVもスマホも高速道路もない、冬は3か月間雪と氷に閉ざされる町、幸せとは何か? とこの子どもたちに出会って思い知らされました。
この町で風景を描いていたとき、物珍しそうに子どもたちが集まってきました。描き終えたときその中のガキ大将みたいな子どもが「おっちゃん僕の顔描いて」と身振り手振りで話しかけてきました。
その子を皮切りに5、6人の似顔絵を描いてあげましたが、皆一様に嬉しそうに自分の絵に見入っていたのが印象的でした。
そこで日本に帰って思いついたのがボランティアで子どもの絵を描くことでした。枚方市教育文化センター(きょうぶん)に集まる子どもたちの似顔絵を描き始めたのが同年6月、今年2月まで約610枚の似顔絵を描き、すべてお母さんに進呈しました。
決して上手な絵ではないのですが、お母さん達は喜んでくれますし、描きながら子どもたちの無邪気さに涙することもあり、描く絵も少しずつ上達する、NALCのPRにもなる、と我ながらいいボランティアを思いついたものですが、始まりはフンザに旅したこと。いまだに最もいい旅だったと思い浮かべています。