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ひ と 言(会報巻頭文)

<掲載年月:2015/05>

助け合い、支え合う地域を目指して

副代表 蕎麦谷東造

 昨年4月から文豪・漱石の代表作「こころ」が100年ぶりに新聞連載され、10月から「三四郎」へと続きました。
毎日、少しずつ読む新聞小説は面倒な気もしたが、当時の世相や人々の生活を知る機会になればと読み始めました。  東京帝国大学に入学のため、三四郎が九州から三等車で向かう汽車内の情景から始まります。三四郎が学生生活を通じて目の当たりにした光景は、明治維新の開国から40年、日露戦争後も西洋文化を貪欲に取り入れ、自由で便利で豊かな社会を目指して発展する東京です。
 この様な時代を経て太平洋戦争後70年、私達は再び、原子力の平和利用を含め物質的に豊かな社会を目指して、一生懸命に働いてきました。その結果として近年の異常気象に象徴される災害や公害、自然破壊や原発事故の恐ろしさを体験し、更に核家族化は、育児放棄や児童虐待など「こころ」の問題へと広がり始めています。
 最近、人々は古き良き日本の伝統や文化、精神の大切さに気付き始めました。
 今年4月から市町村が主体となり、介護が必要となっても住み慣れた地域で、自分らしい人生を最期まで続けることが出来るよう、新しい地域包括ケアシステムの構築に向けての検討が始まりました。これは、医療、介護、生活支援・介護予防などに分かれますが、生活支援・介護予防は、ナルクでも既に取組んでいる活動であり、会員相互扶助から地域へも門戸を開くことで、支援が可能になります。
 更に、枚方市でも「子ども・子育て支援新制度」がスタートします。これもまた、「天の川クラブ」では、『遊びの玉手箱』や親子広場支援、子ども安全見守り隊、青色防犯パトロールなどの活動を通じて支援しています。
 これを機会に「助け合い、支え合う」思いやりの地域を目指して更に活動を拡充する年になればと思います。

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