会員だより 戻  る 掲載日:2011/10/12

サンティアゴ巡礼の道を歩いて!
投稿者:野村 文夫 (10地区)
1 サンティアゴ巡礼の道って? 
サンティアゴ巡礼の道
サンティアゴ巡礼の道
※画像にマウスオンで拡大表示します。
サンティアゴ巡礼は1000年余の歴史を持つカトリックの巡礼路です。キリスト12使徒の一人、聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の墓が西暦813年にスペイン北西部のガリシア地方で発見されました。
 聖ヤコブはスペイン北部で伝道した後、当時迫害されていたキリスト教徒の指導者として打首によって殉教しました。 その遺体は弟子によってスペイン北部に運ばれ、埋葬されましたが墓の存在は忘れられていました。
 発見された墓の遺体が安置されたサンティアゴ大聖堂を目指して、世界各地からの巡礼が1000年以上に及んで盛んに行われています。 ヨーロッパ各地からの巡礼路がユネスコ世界遺産に登録され、サンティアゴまで100km以上歩いた人に与えられる認定証の年間取得人数は18万人に達するほどです。
2 何故サンティアゴ巡礼なの?
 私はカトリック教徒としてぜひこのサンティアゴ巡礼の道を歩きたいとかねてから思っていましたが、2009年4月から5月にかけて歩いたナルク中山道69次「エコ・ふれあいウォーク」535kmなどを体験して歩く楽しさを実感しました。 また、76歳という私の年齢から考えるとこんな冒険は今年が最後のチャンスだと思い至った結果、今年の年賀状で向こう見ずにも実行宣言をしてしまいました。
 その後、今春96歳で亡くなった母と共に旅行したスペインですので一緒に見たいとの思いと、共に歩く外国の皆さんに3・11東日本大震災へのご支援に感謝するメッセージを伝えたいとの気持ちも湧き出てきました。
 幸いにも語学が達者でしかも健脚の男性と、女性と、私の3人で行くことになり、妻も安心して送り出してくれました。 巡礼のコースは最もポピュラーなフランスの道に決めましたが、サンティアゴまでの全行程800kmを34日(20~34km/日)で歩きました。
3 主なポイント
(1) 行程の概況

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからの道
<サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからの道>
あと100kmの道標を囲んで巡礼仲間と喜ぶ
<あと100kmの道標を囲んで巡礼仲間と喜ぶ>
 さて、出発地点のサン・ジャン・ピエ・ド・ポー( ピレネー山脈のフランス側の町)からの道は行程の中で一番の難コース(登り1400m、下り1000m)でしたが、歩きやすい気温で好天に恵まれました。 厳しい登りが続くのですが景色が素晴らしい。  広々とした牧草地で草を食む牛や羊の群れを楽しみながら森の中を登って行くと、広々とした光景が眼下に広がって疲れも感じませんでした。 3人が口々に「素晴らしい!広い!」を繰り返しました。
 スペイン北部地方は丘陵地または山岳地帯で上り下りが多く、とにかく広い。行程の当初、私は少し体調を崩しましたが,荷物を6~7kgに落として余分の荷物を次の宿に送ることにしたこと、ストレッチをきっちりするよう教えてもらったことなどで都度持ち直し、行程の3分の2以降は快調に歩くことができました。
(2) 道と宿の整備状況
 巡礼道の整備にはさすがに1000年の歴史を感じます。 山道にも道標がキッチリありますのでほとんど迷うことがありません。  また自動車道路と同じ方向に行くときにも必ず巡礼用の道が平行して造られていて危険を感じることがないのは立派。
 アルベルゲという巡礼宿は教会や自治体の公営や私営の宿が各所に作られていて素泊まりの2段ベッドですが、寝袋必携で一晩5~10ユーロ(600円~1,200円程度)と格安で泊れます。 シャワー、トイレ、洗濯場、干場利用可です。 ホテルは5,000円から10,000円と高いので専らアルベルゲを利用しました。
(3) 道中の景色,バルなど
 景色は、最初の山岳地帯から丘陵地の小麦畑、葡萄畑、ひまわり畑と変わりますがとにかく大規模農業。  人の姿はほとんど見られず巨大な散水機やブルドーザ、散水施設をコントロールする通信用アンテナなどが目に付きます。 これでは日本の農業は太刀打ちできません。
 また至る所に風力発電の大きなプロペラがズラーッと並んでいたのは壮観でした。   スペインは原子力発電をやめると宣言しましたが、風力発電などの自然利用発電で約20%の発電シェアを確保しているという話を聞きました。 地震のないスペインがやめようという原子力発電を地震の巣の日本が決断できないのは何故かを考えねばなりません。
 バル( BAR )はスペインの簡易食堂+バーですが小さな村にもどこにでもあります。 朝早く出発する私たち巡礼者は、パンや果物などで朝食を軽く済ませてヘッドランプをつけて出発して( 朝6時30分出発時はまだ真っ暗)1時間後ぐらいに途中にあるバルでスペイン風ミルクコーヒーとスペイン風卵焼き(ジャガイモ入り)やジュースなど、改めての朝食でお腹を満たします。
(4) 各地の教会 
サンティアゴ大聖堂の前で
サンティアゴ大聖堂の前で>
 ブルゴス、レオン、サンティアゴなどにあるカテドラルの巨大さ、華麗さには本当に驚かされます。 石造りの巨大な教会がそんなに大きくない町に、しかも幾つもあります。  また田舎の小さな村にも必ずある教会の質素なたたずまいにも感動させられましたが、訪問した教会は多数でした。
あとがき
 歩いている最中は各国の巡礼の人々との間で「オラ!(ヤア!)」 「ボン・カミーノ!(巡礼の成功を!)」などの挨拶をはじめとした温かい交流がありました。 片言で東日本大震災のお礼の言葉を述べ、お礼のメッセージを京都の絵はがきに印刷してお渡ししましたが、大災害の中での日本人の礼儀正しさを褒めていただくなど、関心の大きさと暖かさを感じたことが大きな成果でした。
 皆さんの心からの応援のおかげで無事完歩することができ、感謝で一杯です。皆さんもぜひ歩いてみてください。 楽しいですよ。
(編注: この記事は、「天の川クラブ」編集会議の要請により、寄稿いただきました。)